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【2026年版】能動的サイバー防御とは?中小企業の取引先に求められる備え

【2026年版】能動的サイバー防御とは?中小企業の取引先に求められる備え

2026年10月1日に主要部分が施行された能動的サイバー防御の関連法を平易に解説。取引先・委託先の中小企業が聞かれやすい資産一覧・ログ・連絡ルール・委託先管理と、AIエージェントや自動化ツールの権限管理の進め方を整理します。

2026年10月、「能動的サイバー防御」という言葉をニュースで見かける機会が増えました。関連する法律の主要な部分が2026年10月1日に施行されたためです。「大企業やインフラ企業の話で、うちには関係ない」と考える経営者の方も多いと思います。ただ実際には、電力・通信・金融などの企業と取引している中小〜中堅企業にも、取引先から質問される、対策の状況を確認されるという形で影響が出ると指摘されています。

この記事では、まず制度の中身をできるだけ専門用語を使わずに説明します。そのうえで、中小〜中堅企業がやることを「取引先から聞かれたときに何を出すか」に絞って整理します。あわせて、最近増えているAIエージェントや社内の自動化ツールの扱い方も取り上げます。

能動的サイバー防御とは?『攻撃されてから』ではなく『兆候の段階で』防ぐ考え方

これまでのサイバー対策は、ウイルスに感染した、システムが止まったなど、被害が出てから対応するものが中心でした。能動的サイバー防御は、攻撃の兆候をつかんだ段階で先に手を打ち、大きな被害を防ごうとする考え方です。

そのためには、国と企業がそれぞれの持つ情報を持ち寄り、「どこで、どんな攻撃が起きつつあるか」を早く知る必要があります。今回の制度は、その情報共有の仕組みを法律で定めたものと理解するとわかりやすいでしょう。制度の全体像はDirectCloudの解説記事にまとまっています。

2026年10月1日の施行で何が始まったか:基幹インフラ事業者の届出・報告の義務と、官民の情報共有

関連法(一般に「サイバー対処能力強化法」などと呼ばれます)では、法律上の義務を負うのは主に基幹インフラ事業者です。基幹インフラ事業者とは、電力・通信・金融など、止まると社会に大きな影響が出るサービスを提供する事業者を指します。

報道や解説記事では、主に次のような点が挙げられています。

  • システムの届出:重要なシステムについて、導入する機器などの情報を国に届け出る
  • インシデント報告:サイバー攻撃を受けた、またはその疑いがあるときに国へ報告する(インシデントとは、情報漏えいやシステム停止など、セキュリティ上の事故やその恐れのことです)
  • 官民の情報共有:国が集めた攻撃の情報を、企業側にも提供する

施行の経緯はINTERNET Watchの記事で、届出や報告の義務についてはこちらの解説で整理されています。報告の期限や対象範囲の細かな条件は、自社が直接の対象になるかどうかで変わります。正確な内容は、所管官庁の公表資料で確認してください。

うちは関係ない?取引先・委託先の中小企業にどう影響するか

中小〜中堅企業の多くは、法律上の義務を直接は負いません。しかし、基幹インフラ事業者がシステムを届け出たり、攻撃を受けたときに報告したりするには、そのシステムに関わる取引先や委託先の情報も必要になります。たとえば、保守を請け負っている会社、ソフトウェアを納めている会社、業務の一部を受託している会社などです。

近年は、セキュリティの弱い取引先を足がかりに本命の企業へ侵入する攻撃が問題になっています。取引先を含めた全体を守る考え方をサプライチェーンセキュリティと呼びます。トレンドマイクロの解説でも、取引先を経由したリスクへの注意が取り上げられています。今後は、取引の継続や新規の契約の際に、セキュリティ対策の確認を求められる場面が増えると考えておくのが現実的です。

取引先から聞かれやすいこと:システムの一覧、ログ、事故が起きたときの連絡ルール

どんな質問が来るかは取引先によって違いますが、制度の目的から考えると、次の3点はよく聞かれると考えられます。

1. どんなシステムやアカウントを使っているか

取引先のシステムにつながる端末やアカウント、自社で使っているクラウドサービスなどの一覧です。「誰が、何に、どの権限でアクセスできるか」を答えられるかが問われます。

2. ログを残しているか、どのくらいの期間か

ログとは、誰がいつ何をしたかというシステムの記録です。事故が起きたときに原因を調べるには、ログが残っていることが欠かせません。保存期間が短すぎると、調べたいときにはもう消えている、ということが起こります。

3. 事故が起きたら、誰が、いつ、誰に連絡するか

基幹インフラ事業者は国へ報告する立場にあるため、取引先で起きた事故もできるだけ早く知りたいはずです。「気づいた人が誰に伝え、誰が取引先に連絡するか」が決まっているかどうかが確認されます。

まず整えたい4つのこと:資産一覧・ログを残す期間・社内での上げ方・委託先の管理

聞かれやすい質問に答えられるよう、次の4つから整えるのがおすすめです。

項目 やること 最初の目安
資産一覧 端末・クラウドサービス・アカウントを一覧にする 表計算ソフトで、名前・担当者・権限・用途を書き出す
ログを残す期間 主要なサービスのログ保存期間を確認し、見直す 初期設定のままか、どこまでさかのぼれるかを把握する
社内での上げ方 事故に気づいたときの連絡の流れを決める 連絡先と判断する人を1枚の紙にまとめる
委託先の管理 自社が業務を任せている先の対策を確認する 委託先の一覧と、契約上の取り決めを確認する

ポイントは、完璧を目指さず、まず「書き出す」ことです。一覧がなければ、取引先に説明することも、事故のときに影響範囲を調べることもできません。また、自社も誰かの取引先であると同時に、自社が仕事を任せている委託先もあるはずです。委託先で起きた事故が自社経由で取引先に及ぶこともあるため、委託先も確認の対象に入れます。

AIエージェントや社内の自動化ツール(n8nなど)も一覧と権限管理に入れる

ここが今回、特に強調したい点です。最近は、AIエージェント(人の指示を受けて、AIが自分で複数の作業をこなす仕組み)や、n8nのようなワークフロー自動化ツール(複数のサービスをつないで作業を自動で流す道具)を社内で使う企業が増えています。

こうした仕組みは、人と同じように、またはそれ以上にシステムへアクセスします。メールやファイル共有、顧客管理などのサービスに接続するために、アクセス用の鍵(APIキーなどの認証情報)を持っていることが多く、担当者が個人の判断で作ったまま、誰も全体を把握していないことも珍しくありません。

資産一覧をつくる際は、次の項目もあわせて書き出しましょう。

  • どのAIエージェント・自動化ツールが動いているか
  • 作った人、いま管理している人は誰か
  • どのサービスに、どの権限で接続しているか
  • 認証情報はどこに保管され、退職や異動のときに止められるか
  • 動作の記録(ログ)が残るか

権限は「必要な作業ができる最小限」にとどめるのが基本です。たとえば、読むだけでよい処理に書き込みや削除の権限を与えていないかを見直します。AIの利用ルールについては、当社コラムの『とりあえずAIが、いちばん危ない』『シャドーAIとは?』もあわせてご覧ください。

予算が限られた会社のための進め方:小さく整えて、取引先に説明できる状態にする

専任の担当者や大きな予算がない会社でも、次の順番なら少しずつ進められます。

  1. 主要な取引先を確認する:基幹インフラに関わる取引先がどこかを把握し、優先順位をつけます。
  2. 一覧をつくる:端末・サービス・アカウント・自動化ツールを表にまとめます。最初は粗くてもかまいません。
  3. ログの設定を確認する:よく使うクラウドサービスから、保存期間と確認方法を調べます。
  4. 連絡ルールを1枚にする:誰が気づき、誰が判断し、誰が取引先へ連絡するかを決め、社内で共有します。
  5. 説明用の資料にまとめる:取引先から聞かれたときに出せるよう、上の内容を簡単な資料にしておきます。

大切なのは、「何をしていて、何がまだできていないか」を正直に説明できる状態にすることです。取引先にとっても、状況がわからない相手より、課題を把握して改善を進めている相手のほうが安心できます。半年に一度など、見直す時期を決めておくと形骸化を防げます。

まとめ:axflowにご相談いただけること

能動的サイバー防御の関連法は、直接の義務は基幹インフラ事業者にありますが、取引先や委託先も「説明を求められる立場」になります。まずは資産一覧、ログを残す期間、社内の連絡ルール、委託先の管理の4つを整え、AIエージェントや自動化ツールも一覧と権限管理に含めることが、現実的な第一歩です。

株式会社axflowでは、AI駆動開発とAX(AIによる業務変革)の支援を通じて、次のようなご相談をお受けしています。

  • 社内で使っているAIエージェントや自動化ツール(n8nなど)の棚卸しと、権限の見直し
  • システムやアカウントの一覧づくり、ログ設定の確認の進め方
  • 取引先への説明を見据えた、セキュリティに配慮した業務自動化の設計

「何から手をつければよいかわからない」という段階でもかまいません。自社の状況を整理するところから、お気軽にご相談ください。

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金子 健哉

執筆者

株式会社property technologies - CTO(最高技術責任者)

前職では、クライアントのWEBサイトシステムの開発、社内のIT開発を経験した後、同社CTOに就任。マーケティングプラットフォーム開発に成功。
フリーランスに転じて企業のITコンサルティング、システム開発の請負等を行った後、2021年5月よりproperty technologiesグループ参画。
CTOとしてエンジニアを統括し、プラットフォーム開発や社内システム開発に従事。
ITコンサルティングおよびシステム開発の請負や、プラットフォーム開発や社内システムの設計・構築まで幅広く手がける。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」への出演をはじめ、メディアにも出演。

前職では、クライアントのWEBサイトシステムの開発、社内のIT開発を経験した後、同社CTOに就任。マーケティングプラットフォーム開発に成功。
フリーランスに転じて企業のITコンサルティング、システム開発の請負等を行った後、2021年5月よりproperty technologiesグループ参画。
CTOとしてエンジニアを統括し、プラットフォーム開発や社内システム開発に従事。
ITコンサルティングおよびシステム開発の請負や、プラットフォーム開発や社内システムの設計・構築まで幅広く手がける。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」への出演をはじめ、メディアにも出演。

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